上の写真のように、早朝はくっきりとした富士山を狙いやすいが、松林と砂浜が逆光で色が出にくい。
一方、下の写真のように松の緑と白砂の色を重視するなら日がのぼってから。しかし日中は富士山に雲がかかりやすい。
白く砕ける波の躍動感と、神秘的な富士山の静謐なたたずまい。そしてその動と静を中央で分け隔つ松原と白砂。
この完璧なまでに日本的な原風景。
定番中の定番ゆえに、条件さえそろえば、絵はがきのような写真が誰にでも撮れます。
一方であまりに有名な構成ゆえに「誰が撮っても同じ」という先入観をもってしまいがちですが、遠景の富士山は季節はもちろん、時刻によっても刻々と姿や色を変え、近景となる海や波の表情も同じ瞬間はふたつとありません。
主題をどこに置くかによってレンズの焦点距離を変えたり、画角における富士山の割合を調節することで、あなただけの一枚に挑戦してみてください。
富士山は季節によっては、なかなかその姿を現してくれません。朝はくっきり見えていても、すぐに靄がかかったり、頂上が雲に隠れたり。
最高の一枚を求めて、大型の三脚にカメラを固定し、寒風の中、じっとタイミングを待つカメラマンが通う、とっておきの撮影スポットです。
撮影ポイントまでは、羽衣の松から砂浜を右手に400mほど歩きます。消波ブロックが目印です。
浜には「はちまき石」という白い帯のかかったかわいらしい石が落ちています。見つけると願いごとがかなうという、はちまき石。撮影ポイントまで浜辺を歩くときに、探してみてはどうでしょう。
江戸時代の浮世絵師、歌川広重の「六十余州名所図会」。その中にも三保松原が描かれています。現実に広重の絵のような視点の写真を撮ろうと思ったら、空撮を行うしかありません。
もちろん広重の生きた時代には飛行機はありませんから、空想の力で鳥の目になって描いたのでしょう。右の写真は空撮写真を横にぐっと縮めたものです。こうしてみてみると広重の想像は、けっこう正確だったんですね。
広重の浮世絵とは角度が異なりますが、空撮を使わずに三保松原の全景をファインダーにおさめる方法があります。
三保松原の西側に鎮座する日本平に登ってみましょう。ドライブウェイの途中で、富士山を背景に俯瞰で眺めた三保松原を捉えることができます。
三保松原に撮影に訪れると、海岸に多くのブロックや工事機材を見かけます。
せっかくお気に入りの景観をファインダーにおさめようとしたのに、どうしてもブロックやショベルカーが邪魔、という経験をなさった方もいるかもしれません。
しかし、海岸侵食のために一時は三保松原の存続さえ危ぶまれるほどの状態になったことをご存じでしょうか。
少ないブロックで効果を出せるヘッドランド工法と、サンドブロック、サンドバイパスといった養浜対策とを組み合わせることで、砂浜の保全と景観の両立という課題に取り組みつづけています。